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がんの療養を続けながらの就業をハローワークが支援~長期療養者等就職支援モデル事業~

長期療養者等就職支援モデル事業

長期療養者等就職支援モデル事業は、がん、肝炎、糖尿病などの長期にわたる治療を受けながら、生きがいや生活の安定のために就職を希望される方などに向け、平成25年から開始された厚生労働省によるモデル事業です。
全国で指定されたいくつかのハローワークに就職支援ナビゲーターが配置され、がん診療連携拠点病院等との連携のもと、個々の患者さんの希望や治療状況を踏まえた職業相談・職業紹介、患者さんの希望する労働条件に応じた求人の開拓、就職後の職場定着の支援などを実施しています。また、がん診療連携拠点病院等の医療施設への出張職業相談や、労働市場、求人情報などの雇用関係情報の提供も行っています。
実施施設以外でも、ハローワークでは、一人ひとりの状況や特性を踏まえ、きめ細かな職業相談を行っています。詳細は、最寄りのハローワークにお問い合わせください。

長期療養者等就職支援モデル事業|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000065173.html

~実施施設の一つ、ハローワーク福岡中央でお話を伺いました~
治療や体調に合わせ、ご自身に合った働き方を一緒に考えましょう

― ハローワーク福岡中央で行っている取り組みの概要をお教えください

こちらでは、九州がんセンターと連携しており、同センター内のがん相談支援センターから患者さんのご紹介を受けたり、新聞やテレビ等で当事業を知った方から直接お問い合わせをいただき、職業相談、職業支援を行っています。

九州がんセンターには月に一回、出張相談に伺い、患者さんの職業相談を行っています。また同センターの「がんサロン」にも参加して、患者さんのお話しを伺ったり、当事業の紹介をしたりしています。2016年には患者さんとそのご家族に向けたがん教室で「がんと仕事」についてお話しさせていただく予定もあります。
福岡県だけでなく、九州地域で他県にお住いの方からのお問い合わせなど、職業支援を必要とされる方には、広く対応しています。

がん就労支援ハローワーク
ハローワーク福岡中央 職業相談第1部門 就職支援ナビゲーター(長期療養者担当)
谷屋 洋子さん

― 実際に相談・支援を希望される方は、どんな方が多いのでしょうか

病気や経過によってまちまちですが、まず治療が一段落した時点でご相談される方が多いですね。乳がんの方の場合ですと、手術などが終わり経過観察中の方や、抗がん剤治療中の方が多いかと思います。
ご相談の内容は、大きく二つに分かれると思います。一つ目は、現在就業をやめており、これから就職したい方。こちらは、ご自身に合わせた職業紹介などの支援をさせていただきます。二つ目は、今就業しているのだけれど、今後、治療を続けていく上で現在の仕事を辞めようかと悩まれている場合。こちらの場合は、昨今の求人事情もあり、一度仕事を離れてしまうと再就職や条件等が厳しくなる場合が多いので、配置転換や時短勤務など、できるだけ今の職場で働き続けられる方法を一緒に考えていくことが多いですね。

― 療養者の方の就職活動の現状や、今までに成功した採用事例を伺えますか

比較的、事務職を希望される方が多いのですが、事務職は全体的にみて求人が少ないのが現状です。そこで、今までのご経験やスキルを活かした職業・職種を考えられると、就職にも結び付きやすいですし、就職後のご本人のストレスも少ないと思います。
実際に、以前からのご経験を活かし、介護・保育・飲食分野などの専門職に就かれた方が何人かいらっしゃいます。特に介護職などの休みがシフト制の勤務は、ご本人の治療の都合に合わせて出勤を調整できるメリットもあるようです。
今後は、企業へ療養者の就業についての啓発活動を行っていくなど、事業者側への働きかけも広く行っていきたいと考えています。

― 就職活動の際には、企業側に病気のことをいつ、どうやって伝えればよいのでしょうか

相談者の方には、求人票の内容を見て、仕事をする上で配慮してもらわなければいけないことがある場合は、申告しておいた方が良いことをお伝えしています。特に仕事上で制限のない場合は、企業に病気のことを伝えるか、伝えないかはご本人の意思にお任せしています。
また伝える場合には、ハローワークから企業へご紹介する際か、履歴書を書く際、面接の際、就職後など、どのタイミングで申告するのがよいのか、個々の状況に合わせて相談者の方と考えていきます。伝える際は、ただ病気にかかったという話だけにならないよう、今の自分の身体の状況、今出来ることなどを前向きにお伝えいただくようにお話しています。

― 今後、就業を考えている療養者の方にアドバイスをお願いします

仕事は、お金を得るという側面以外にも、生きがいや社会貢献といった要素を持ち、みなさんからは「仕事が続けられてよかった」、「打ち込めることがあって嬉しい」といった声も届いています。ご自身の治療や体調に合わせ、ご家族とも相談しながら、それぞれに合った働き方が考えられるとよいですね。
悩まれた際には一人で抱え込まずに、どこにでも誰にでもいいので、まずは相談してみてください。そこから、チャンスやご縁が広がっていくこともあると思います。
この長期療養者等就職支援モデル事業は、全国のさまざまな都道府県で実施している新しい取り組みであり、今後さらに多くの地域にも広がっていくことと思います。ぜひ、お気軽に足を運んだり、お問い合わせなさってください。

(2015年8月取材)

お問い合わせ

ハローワーク福岡中央 職業相談第一部門
〒810-8609 福岡市中央区赤坂1-6-19
TEL:092-712-8609 部門コード41#(音声ガイダンスを導入しています)
窓口取扱時間:平日8時30分~17時15分
HP:https://jsite.mhlw.go.jp/fukuoka-roudoukyoku/

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