1. 治療中の食事編
「何を食べてもおいしくない、味覚が変…」
「すべてのにおいが気持ち悪くて、つらい」
(アンケート結果より)
化学療法や放射線療法で起こる副作用の一つに、味覚障害や嗅覚障害があります。「口の中が常に苦い」「鉄のような味がする」「口の中がずっと甘い」「何を食べてもおいしく感じられない」「つわりのときのように、すべてのにおいがダメ」「においで吐き気がする」――。
感じ方や程度は人それぞれですが、味覚や嗅覚が変化してしまい辛いという悩みはよく耳にします。
症状に合わせて味を変えてみよう!
口の中が甘く感じるときには、砂糖やみりんなどの甘味が強い調味料は控え、塩味を少し濃い目にして、酸味のある酢や香辛料でアクセントをつけてみましょう。塩味を感じにくい時は、だしをきかせうま味をプラスするとおいしく感じられます。
また、口の中が苦い、あるいは金属のような味がするときには、酸味のあるキャンディやキャラメルなどを食べるといいですよ。ゴマやシソ、香辛料などを使うこともお薦めです。赤身の肉やトマトは苦味・金属味に感じやすいので避け、口当たりの良い卵や乳製品などを摂りましょう。
調子の良いタイミングを見計らって!
嗅覚が敏感になってすぐに吐き気がしてしまう方は、焦らず、吐き気が治まるタイミングを見計らって食事をとるようにしましょう。食卓や食器、盛り付けを工夫するなど、環境を変えて気分転換することで、気持ち悪さが治まることもあります。無理をせず、気分のよいときに食べられるものを食べること。
また、においの強い肉・魚・野菜などは控え、温かいものは冷ましてから食べましょう。ごはんやおかゆもにおいでむせてしまいがちですので、おにぎりや冷茶漬けなど冷たいものをためしてみましょう。食前に番茶やレモン水などで口をすすぐと、少し吐き気を軽減することができます。試してみてください。
先輩からのアドバイス
- ・酸味のものは大丈夫だったので、ポン酢を使ったり、グレープフルーツを食べたりしていた!
- ・食欲自体がなかったので「これなら食べられる」というものだけつくった!
「味覚や嗅覚がおかしくて、味付けができない、調理ができない」
(アンケート結果より)
味覚や嗅覚が変わったり、不調があると、食事をとることだけではなく、食事をつくることも大変です。「味見をしてもわからない」「調理中のにおいがダメ」など、「調理に困った」という方も少なくありません。しかも、2年以上という長い期間悩まされたという方も比較的多いのです。「家族に申し訳ない」など、焦る気持ちもあるかもしれませんが、工夫しながら無理のない範囲で行いましょう。
計量カップ、計量スプーンでしっかり、レシピ通り
いつもであれば味見をしながら味を調整していたのに、味覚が変わったために塩加減一つとってもわからない…。そんなときには、勘に頼らず、計量カップや計量スプーンで計ってレシピどおりに作ってみましょう。
あるいは、計らなくてもつくれるような、合わせ調味料やめんつゆなどの利用も便利です。また、一緒住んでいる家族などに味見をしてもらい手伝ってもらってもいいのではないでしょうか。
手を借りる、手を抜くのも工夫の一つ!
毎回つくらなければいけないと思うと、大変ですよね。調子のよいときに作り置きして冷凍保存しておく、デパートやスーパーなどのお惣菜や宅配弁当などを活用する、あるいは家族や友人に準備を頼むなど、辛いときには簡単な方法を考えてみてはいかがでしょうか。
買い物に行くのが大変というときには、食材宅配サービスもあります。「いつも通りに、完璧に」をめざすのではなく、「できる範囲」が笑顔を保ちます。
「食べたいものが食べられない」(アンケート結果より)
食欲はあるのに何を食べてもおいしく感じられなかったり、治療の副作用で口内炎がひどくて食事が苦痛になったり、あるいは抗がん剤治療中に医師から「生ものは一切ダメ」とストップがかかったなど、「食べたいものを食べられない」のはストレスですよね。さっぱりしたものが食べたいけれど、下痢をしやすいので冷たいものを控えていたという方もいらっしゃいます。
“食べられないもの”に目を向けると、ストレスになってしまいますので、今、食べられるものを考えましょう。
食べてみたい、食べられるものを用意する!
「治療が終われば、気分良く好きなものを食べられるようになる!」と前向きに捉え、まずは、“今、食べられるもの”を探しましょう。さっぱりしたもの、口当たりの良いもの、水分の多いものは比較的食べやすいかもしれません。
口内炎がひどい方は、柑橘類や香辛料など刺激になるものは避け、熱いものも控えた方がいいでしょう。食材をミキサーにかけ、ピューレ状、あるいはスープにするのも一つの方法です。
下痢しやすい方はこまめに水分を
下痢をしやすい場合、脱水症状に気をつける必要がありますので、水分を多めにとりましょう。市販のスポーツ飲料を常温で飲むとおなかに優しく、消化しやすいです。
先輩からのアドバイス
- ・生ものは治療を終了してからのご褒美にしました!
- ・口内炎がひどいときに、マヨネーズが大活躍。マヨネーズを混ぜると口当たりが柔らかくなった!
「食生活のアドバイスを受けたいけれど、誰に聞けばいい?」
(アンケート結果より)
食べられないものが増えたり、食欲がなくなったり、味覚が変わったりといろいろな悩みがでてくると、誰かに相談したくなりますよね。
家族や友人に聞いても病気のことはわからないし、本やインターネットで調べてみても「自分の場合はどうだろう」と不安や疑問が残るのではないでしょうか。
忙しそうな医師や看護師さんには聞きづらいという方もいらっしゃるかもしれませんが、やはり専門家に相談するのが一番です。まずは困っていることを伝えましょう。
担当の医師、看護師、栄養士さんに相談しましょう!
自分の体のことをよくわかってくれていて、病気のことに詳しい専門家に相談してみましょう。特に栄養士さんは、食事の専門家です。
一般論だけではなく、あなたの病気、体調のこともふまえた上でアドバイスをくれるのではないでしょうか。